死ぬまでの過ごし方のこと

 10月に死ぬと決めた。これを書いている今は8月6日。まだ死ぬまでには2ヶ月近くの猶予がある。となると、問題になってくるのは死ぬまでの過ごし方だ。前のエントリで書いた「死ぬまでにやっておくべきこと」をこなすのは大前提として、もっと差し迫って判断しなければならないことがある。それは、今勤めている会社をどうするのか、ということだ。

 会社の人たちにとって一番理想的なのは、私がさっさと退職してしまうことだろう。幸いにも(幸いか?)私はここ2週間ほど仕事を休んでいるので、突然いなくなっても宙ぶらりんになってしまうタスクはないし、会社側からしても「社員から自殺者が出た」というのは、あまり外聞が良くない。私は会社の偉い人になったことがないのでよくわからないけれど、多分私が遺書に「会社はなんの関係もありません」と明記して、私の母が会社を訴えたりしなかったとしても、葬儀に弔事の手紙を送ったり何なり、何かしらの仕事を増やしてしまうことは間違いないだろう。

 だから、一番の正解はこのまま会社を辞めてしまって、残り2ヶ月は雀の涙ほどの貯金と残りの給料で生き延びて「無職の人」として生を終えることなのだと思う。

 その勇気が出ないのは、私が、あるはずのない「自殺したその後のこと」を考えてしまっているからだ。

 もしも失敗したら? 直前になって勇気が出なくて決行できなかったら? そういう時の保険として、身勝手に会社を利用しようとしている。

 むろん、会社からすればいい迷惑だ。休職もしていないし、それなのに碌に仕事に出てこないし、でも給料は支払わなければならないし、そのうえ(上手く行けば)自殺までされるのだから。

 結局「10月に死ぬ」と決めたは良いものの、最後の梯子を外すことができないままここにいる。少なくとも社員として会社に所属しているのなら仕事に行くなり、あるいはやっぱり休職するなり、きちんとした対応をしなければならないと思っているのだけれど。

 本当に死ぬ気あんのかコイツ、と我ながら思いつつ、それでも準備だけは芋虫のように少しずつ進めている。そんな夏の夜です。