出社までのハードルのこと

 前のエントリに書いたように、今週の頭から復職している。いきなりフルタイムで5日間フルは若干の不安があったので、初週は時短勤務をさせてもらうことになった。……が、もう既に体力の限界を感じている。単に今まで外出していなかった肉体的な反動が来ている、というよりも「毎日決まった時間に家を出て多くの人が集まる場に出ていく」ということそれ自体がストレスになっている感じだ。

 とはいえ、いつまでもそんなことを言っていても仕方がないので「朝出社がつらい」の中身を細かく砕いて内訳を洗い出してみることにした。目の前に立ちはだかる問題が大き過ぎてどこから手を付けたら良いか分からない時は細かく分解してみるといいよ、となんか偉い人が言っていた気がするからだ。

そもそも起きるのがつらい

  昼夜逆転の生活を送っていたせいで夜に眠れず、朝方に多少まどろんだ程度で起き出す羽目になるので肉体的に起き上がるのがつらい……という、なんとも当たり前で贅沢な話である。これについてはもう「さっさと寝てまともな時間に起きる」以外に対処のしようがない。ただし、(これは休職する前からそうだったのだけれど)実際は前日にお酒も飲まずまっとうな時間に眠った翌朝に限って起き上がれず、結果として会社を休んでしまう……ということが多かった。故に、肉体的な疲れと眠気が原因で会社に行けない、というケースは極稀なのだと思う。

業務内容がつらい

 休職に至った理由の中では、これが一番大きなウエイトを占めていたと思う。人間関係は別にそこまでまずくなかった。できれば関わりたくない人はいたけれど、自分の席に座っているだけで誰かから罵詈雑言を浴びせられたりいじめられたりすることは無かったのだから。

 業務量が多すぎて大変だった時期はあったけれど、この頃はむしろ会社を休むなんて考えられなかった。その日こなさなければならないタスクが山積みで「嫌だなあ」なんて考える暇もなかったからだ。業務の量が落ち着いてきて、それをこなす上で必要な「つらい会話」が増えてくるに従って「どうしても今日やらなくちゃいけないわけじゃないし、会話をするのにパワーがいるから休みたい」というメンタルになってしまったのだ。思えば子供の時から、夏休みの宿題は溜め込むタイプだった。

 けれど復職して新しいチームになったばかりの私には、これも関係がない。

身支度がつらい

 朝起きて仕事に行くまでには「身支度を整えて社会人として恥ずかしくない状態」になる必要がある。私の会社は私服勤務で、皆かなりラフな格好で職場に来ているので、ビジネスカジュアルがどうとか気にする必要はない。ないのだが、起きてから会社に行くまでにはおおよそ以下の準備を必要とする。

  • シャワーを浴びる
  • 顔を洗う(大体シャワーと一緒に済ませる)
  • 服を着る
  • 化粧をする

 このうち、シャワーについては前日に済ませておけば問題ないのだけれど、夜にお風呂に入らず朝シャワーを浴びるという習慣は子供の頃からのものなので今更変えようがない。というより、私自身出かける直前にシャワーを浴びなければ気持ちが悪い。夜歯磨きをしないと寝付けないのと同じようなものだ。面倒だからといってシャワーを浴びないのは周囲の迷惑にもなる。髪の毛がギトギトの相手と一緒に仕事をしたくはないだろう。

 服を着る、というのも社会人には必須の行為だ。着る服を用意するには洗濯をする必要があるが、これも結構ハードルが高い。うちには洗濯機がないので近くのコインランドリーまで洗濯物を持っていき、回し、持って帰って干すという一連の行為が必要になる。休職前はこれが唯一の「土日にこなさなければならないタスク」だった。でも、これにしたって「ごちゃごちゃ言ってないで頑張る」以外の選択肢はない。

 最後の化粧だけが、唯一ショートカットできそうなステップだ。先程も言ったように私の職場では服装的な配慮はほとんど求められないので、女性だろうがジーンズにTシャツ、スニーカーにすっぴんで出社しても何も言われない。考えれば考えるほど緩くて優しい職場だ。なんで休職なんてしたんだろう。

 

 こうして中身を分解してみると、今の私にとって「朝出社することのつらさ」は、ほとんど「身支度を整えてたくさんの人間が出ていくことのつらさ」と同義であるらしい。確かに同じような理由で友達と遊びに行く予定をドタキャンしてしまったことが何度もある。中でも服を着ることとシャワーを浴びることは避けられないので、なるべくこの「つらさ」を軽減しようとするのなら、あとはもうすっぴんで出社するしかない。

 ……というわけで、今日は化粧をせずに会社に出てきた。当たり前だが、誰も「今日はすっぴんなんですね」なんて言ってくる人はいない。もしかすると同じ女性社員の中には「あの人すっぴんかな」と思っている人がいるかもしれないが、そもそも、よく考えたら同僚の顔なんて毎日そんなに注視していないし、仮に「すっぴんかな」と思ったところで、別に気分を害するわけでもない。

 そういうわけで、今日から「出社がつらい」と思った時にはメイクをショートカットすることにした。なんとなくスースーするような気持ちはあるけれど、会社を休むよりはブサイクな顔をブサイクなまま、それでも出ていった方がよほどマシだ。唯一気をつけることがあるとすれば、普段の化粧を濃くしすぎないことだろうか(だってほら、すっぴんになったときにギャップが激しいから)。

 幸いにも、周りの人たちはみんな「取り敢えずは無理しないこと、出社することに慣れることが先決だから休んだり早退したりは気にせずにね」と言ってくれている。その優しさに甘えるだけ甘えて、すっぴんにジーンズにTシャツで、取り敢えず夏だけでもなんとか乗り切りたい。